役員退職金はいくらまで支払えるか?

役員退職金はいくらまで支払うことができるのでしょうか。

結論から言いますといくらでも支払うことができます。法律上、支配額に対する上限が定められているわけではないからです。

ただ、税法上は支払った分すべてが経費として認められるわけではなく、経費として認定される上限があります。全額経費として認定してしまうと利益調整に使われる可能性があるので、適正な金額までとされています。

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税法上の上限

では税法上の上限額はどうやって算出するのか。以下の算出方法によって計算された金額が上限となります。

「最終報酬月額 × 役員在任年数 × 功績倍率」

またこの算式によって出された金額なら全額経費として認定されるかというと必ずしもそうではなく、

・同業他社、会社規模との比較
・会社への貢献度合

も考慮され判断されます。

 最終報酬月額

算出の際使用する金額が最後の月の報酬額を使うと読め、基本的には最終の報酬月額を使用します。これは最終報酬月額が最高水準であるという想定の元でこのようにされていますが、最終月額報酬が最高水準ではない場合、別の計算方法が認められる可能性があります。

別の計算方法を採用する場合、税務上否認される可能性も出てきますので使用の際は、注意が必要です。

役員在任年数

役員としての在任年数が長ければその分だけ、会社への貢献度合いが高くなりますので、役員としての在任年数が算式の一つとなっています。

また明確に役員であればよいのですが、みなし役員であった期間がある場合、その期間も含めるのかは議論が割れるところで、在任年数に含めても認められるケースと、認められないケースがあり、みなし役員としての職務状況等から判断することになります。

功績倍率

功績倍率は役位(社長、専務、常務、平取締役、監査役)によって異なりますが、一般的には3倍と言われています。

参考例:社長      3倍
専務、常務 2倍~2.5倍
その他役員 1倍~2倍

ただ、4倍を超える会社もあり、ケースバイケースで、明確な倍率があるわけではありません。(なので算出の仕方によっては否認されたり、争われたりするケースがあります)

役員退職金÷(最終報酬月額×役員在任年数)=功績倍率となりますので、最終報酬月額や役員在任年数がわかれば功績倍率を調べることができます。

算出例

役職:代表取締役社長
役員在任年数:30年
最終月額報酬:100万円
功績倍率:3倍

100万円×30年×3倍=9,000万円となります。

この金額が妥当なものかどうか、税務署は会社規模、事業内容、地域性を考慮して判断します。
会社規模によっても、地域によっても退職金の適正な金額が異なり、それにより税務署の判断が異なる可能性があります。

国税不服裁判所の事例

まとめ

役員退職金の支給額自体には上限はありませんが、税務上経費として認められる金額には上限があり、その上限の算出方法はあるものの、算式の要素(最終報酬月額、役員在任期間、功績倍率)にもそれぞれ論点があるため、この算出方法で算出すれば100%大丈夫というものではありません。

金額算出の際も税務リスクを考慮しつつも、長年会社のために尽力された方へ報いる気持ちを最大限表すことができる金額にしたいものです。


【編集後記】

今日はとある案件の打ち合わせで奈良方面へ。その後京都へ行く予定です。
普段大阪ばかりなので京都へ行く機会が少なく楽しみです。

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