農業経営アドバイザー試験合格。業務にもきちんと生かしたい

日本政策金融公庫が資格認定する農業経営アドバイザー試験に合格しました。

私のまわりでもあまり知られていない資格ですが、これを取得しようと思ったきっかけや今後について書きます。

Contents

農業経営アドバイザーとは

まずはそもそもどんな資格なのか。

制度趣旨

農業経営者に対する経営改善支援に必要なノウハウを有する人材育成を通じ、農業経営の発展に寄与することが目的。(日本政策金融公庫 農業経営アドバイザー制度について)

試験概要

試験は年に2回あり、筆記試験と面接試験(筆記試験合格者が対象)があり、両方に合格することで「農業経営アドバイザー」を名乗ることができます。

・対象者は日本政策金融公庫と連携して農業経営者への支援を行う公認会計士、税理士、中小企業診断士、金融機関職員、その他関連機関・団体職員等
・募集定員:400名/回(先着順)
・受験費用:公認会計士、税理士 25,000円
公認会計士、税理士以外 35,000円
前回試験で1科目のみ不合格 15,000円
公認会計士、税理士は一部科目が免除のため受験費用が異なっています。

受験者は、感覚ではJA職員が多いイメージです。公認会計士、税理士は10%未満。

筆記試験

4日間(公認会計士、税理士は2日間)の研修の翌日筆記試験があります。(会場は東京都府中市にあるセミナーハウス クロス・ウェーブ府中。地方会場はありません。またライブ配信等もなくここに行く必要があります。)

私が受けた第26回のスケジュールは以下のとおりです。
11/6(月)オリエンテーション、農業簿記・農業税務
11/7(火)農業経営診断・改善の進め方
11/8(水)労務管理 ←公認会計士、税理士はここから出席
11/9(木)農地制度・農地所有適格法人、農業マーケティング、農業・農村構造と農業政策
11/10(金)筆記試験(農業マーケティングは後日レポート提出)

公認会計士、税理士でも3日間は拘束され、それ以外の方は月~金まで拘束されます。

また研修を受講してすぐに試験がありますので、研修終了後はその日の復習をして試験対策をする必要があります。夕方までみっちり授業があるので、夜ご飯を簡単に済ませ、翌日の授業に支障がない時間までひたすら復習と試験準備に充てました。(試験勉強のための時間があまりありませんので、私はテキストから要点をノートにまとめながら復習するスタイルをとりました。最後はそのノートを見て思い出せるように。あと暗記ものは諦めて暗記しました)

農業マーケティングは筆記試験ではなく、後日マーケティングレポートの提出をし採点されます(期日は翌週の木曜日。なかなかきつかったです)

面接試験

筆記試験合格者を対象として面接試験があります。会場は東京都千代田区にある日本政策金融公庫本店です。これも会場はここのみです。

1グループ6人~8人の受験者に対して、面接官は2人。時間は40分間です。
私のグループは8人中7人がJA職員で、公認会計士、税理士は私だけでした。

グループにより聞かれる内容は異なると思いますが、私が面接で聞かれた内容は以下のとおりです。
・自己紹介(1分間程度で氏名、所属、志望動機)
・自身の地域における農業の問題点と改善案
・自身の強み

一つ目は面接待合時間にも職員の方から案内があったため、事前準備が可能でした。志望動機を簡潔に、かつわかりやすく伝えられる表現、言い回しを考えるぐらいでしょうか。

二つ目からは何が聞かれるかわかりません。受験者6人~8人のどこに座っているかにもよりますが(回答は端から順に行いましたので、一番端なら最初か最後)、瞬時に考えをまとめて答えます。(私は二人目でした)
一人当たりの時間制限がないせいか、考えがまとまっていないからか、私がいたグループでは長々と回答する方や、聞かれた内容とは違う回答をされていた方もいました。

三つ目は残り時間がなかったため、自身の強みを一言で言って下さいというものでした。
(自分の強みを言えない方もいましたが、その方もおそらく合格されていました。)

面接試験は落とす試験ではなく、アドバイザーとして受け答えがきちんとできるかの試験だと思いますので、よほど変なことや的外れなことを言わない限りパスできるのではないかと思います。

準備するもの

日程確保

まずは日程確保!
公認会計士、税理士でも筆記試験日を含めて3日間、それ以外なら平日5日間まるまる必要です。公認会計士、税理士以外はJA職員や金融機関職員が多いため、所属部署や支店から受験していると思われるので所属部署や支店で調整が必要となります。
公認会計士、税理士は独立している方が多いと思いますが、独立しているからと言って3日間連続で日程を確保することは簡単ではありません。ですので、まずは日程の確保が大事です。

テキスト

研修で使用するテキストは事前に指定されており、各自準備する必要があります。研修会場では購入できません。
事前に準備しておきましょう。
ちなみに、私は事前に1ページも見ていません。

費用

受験費用(*1)のほかに、宿泊費、会場までの交通費が必要です。私の場合ざっと10万円(*2)かかりました。

(*1)受験費用:公認会計士、税理士 25,000円
公認会計士、税理士以外 35,000円
前回試験で1科目のみ不合格 15,000円

(*2)受験費用:25,000円
新幹線往復(新大阪~東京)28,000円(研修)
ホテル:3泊分(前泊)14,000円(会場から徒歩10分ぐらいの安めのところ)
新幹線往復(新大阪~東京)28,000円(面接)

なぜ資格を取得しようとしたか

農業に興味がある

私がなぜこの資格を取得しようと思ったかですが、私の理念である、「目の前の会社をより良く、より元気にする」の「目の前の会社」に農業が入っているからです。

もう少しいうと、私は奈良県に生まれ今も住んでいますが、農家が多く親戚も農業に関与しています。また農家となった友人もおり、農業というものが身近にあったことも影響し、農業に従事する方を支援したいという想いがずっとあったからです。

株式会社も増えつつある

農業の分野は一般企業とは異なる性質(JAとの関係、個人事業主・家族経営が多い、天候等に左右される等)があり、また我々のような外部のアドバイザーが入っている農家は少ないのが現状です。

一方で最近は株式会社とし、ビジネスフローに応じた分業化をし、仕組みで回す農業経営者もおられます。
たとえ農業といえども(特殊性はあっても)、会社化し組織となる以上、そこにある課題は他業種の会社と同様のものが多くなります。
ヒトの問題…従業員がなかなか見つからない、入っても続かない
モノの問題…商品(製品)に競争力がない、売り方がわからない、他との差別化ができていない
カネの問題…資金繰りが厳しい、決算書がわからない

農業に直接従事していなくてもできることはたくさんある!

この資格がなければ、農業分野のサポートができないわけではありませんが、入り口のハードルを少しでも下げたいためにこの農業経営アドバイザーの資格をとりました。

今後はITやAIの技術をもっと使って、より効率的により生産性を高く農業をしたいという考えがあります。

個人経営、家族経営ではどうしてもノウハウや経験は「その人」にしかたまらず、伝承という感覚も少なく、自分で経験して覚えるものだという方が多いのではないでしょうか。
それはそれで大事な考えですが、最適な水分量、温度、湿度、肥料の量、種類、収穫量、品質のばらつきをデータとして管理して分析し、より効率性と生産性を追究することも必要です。ただこれを行うためには個人経営、家族経営では難しく、やはり組織にして資金と人材を使ってレバレッジをかける必要があります。

その時に自分の得意分野を生かして、農家の方をより良く、より元気にすることができるし、そう信じています。

まとめ

近年、事業会社でも農業の分野に進出する会社が増え、さらに若い世代でも農業へ参入する方が増えています。またITやAIを使った農業はより可能性を秘め、国内だけではなく海外への進出も可能と考えています。
そんな農業経営者をサポートするために、入り口のハードルを下げるためにもこういう資格はいいのではないかと思いました。


【編集後記】

月曜日から3日間、長崎へ出張でした。プライベートでハウステンボスに行った以来、仕事では初めてです。市街地は路面電車が走り、夜はドックの夜景がとてもきれいで風情ある街でした。

 

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