事業承継なのか継承なのか。大事なのは想い。自分でレールを引くこと

事業の承継(しょうけい)と継承(けいしょう)。

私も同じ意味じゃないの?むしろ立場(継ぐ方、継がせる方)によって違う言い方じゃないの?と思っていました。

ただこれらの言葉、親から子へ会社を継がせる場合等、こと「事業」に対しては、私はそれぞれの言葉を明確に使い分けています。

どんな意味なのか

辞書的では、
承継は「前の代からもの(権利や伝統等)を受け継ぐもの」であり
継承は「前の代の人の身分、仕事、財産などを受け継ぐもの」となっています。

どちらも、もの(権利や仕事、財産)を受け継ぐものとなっており、何となく明確な使い分けが難しそうですね。

私の使い分け

私は事業「承継」という言葉を使っています。

これには明確な意味があるからです。

事業「継承」はハード面(会社というハコや代表者という役職・立場、株式など)を受け継ぐこと
事業「承継」はソフト面(先代の「想い」やそもそもその事業をしている意味など)を受け継ぐこと

と使い分けています。

親から子へ事業(会社)を継がせる場合、最初はハード面に目が行きがちです。
特に中小企業の場合、親は子供に継がせたいと思っており、子供もいつか継ぐんだろうなと考えている場合が多く、「いついつに代表者を子供に譲り、私(親)は後方支援に回ります。」と宣言している会社もよくお見掛けします。
この場合の「子供に譲り~」というのは、会社というハコや代表者という肩書であるため、ハード面を指しています。

しかし、代表者という肩書、立場、株式を引き継いだだけで、これまで先代(親)がしていた「事業」を継ぐことはできるでしょうか。

事業の「継承」と「承継」

事業の「継承」は会社そのものや代表者という役職・立場であり、所定の手続きをすれば引き継がれます。

一方、「承継」は先代の「想い」やそもそもその事業をしている「意味」であったりするため、何か手続きをすれば引き継がれるようなものではなく、親はなぜその事業を立ち上げたのか(もし親も継いだ側だった場合はなぜ事業を継いで、いままでやってきたか)、どんな想いで事業を継続してきたか、今後どうしてほしいのかを伝える必要があります。
また子も親がどんな想いで事業をしてきたかをしっかり聞き、それを自分なりに解釈した上で、自分はどうしていきたいかを考えていく必要があります。

知らない間に「承継」は始まっている

ソフト面の引き継ぎは、親が子に継がせたい、子が継ぎたいと思った時から始まっています。

親は事あるごとに創業時の思い出、苦労話、事業がうまくいった時や悪かった時の話をすると思いますが、これも承継の一部です。
また、子も親からそういった話を聞くたびに、「またこの話かよ」とか「前にも聞いたし」と思うかもしれません。けど、同じ話でも、継ぎたいと思うようになってから聞くと、これまでと違って聞こえませんか?自分に言われているような気がして。

継ぐだけではなく、自分なりのレールを「新たに」ひく

親の想いも十分伝わり、ハード面の手続きを完了し、いよいよ子が代表者となり事業をスタート。

親からの目、従業員からの目、取引先からの目、いろいろなところからの目を意識せざるを得ませんが、ふとした時に楽しめていない自分、ワクワクしていない自分に気づきませんか?

事業承継という言葉を私なりにアレンジすると、事業承継とは「先代から想いを受け継ぎ、それを自分なりに解釈し、自分のレールとして引きなおすこと」です。

いくら親子でも、同じように行動することは無理だし、そもそも親のために事業をしているような気がして楽しくないですよね。
引き継いだ想いを自分なりに解釈し、自分事にして、自分のレールとして新たにひくことが大事です。

そうしないと、想いというソフト面のはずが、肩書等のハード面の引き継ぎと同じようになってしまい(そのまま継ぐだけ)意味がなくなってしまいます。

単発ではない

事業の引き継ぎは、知らない間からソフト面の引き継ぎが始まり、ある局面でハード面の引き継ぎが行われます。ただそこで終わりではなく、ソフト面の引き継ぎは継続して行われます。(ソフト面→ハード面→ソフト面)

まとめ

事業承継、事業継承と言葉だけを見ると似ていて、というか同じ意味をあらわすものとして捉えられていますが、実際の事業の引き継ぎは、決して言葉だけではなく、その中身が大事だといつも考えさせられます。

伝わるもの、伝わりきらないものがある中で、伝わったものをそのまま引き継ぐのではなく、アレンジされ、良くも悪くも形が変わっていくのがソフト面なのかなと思います。


【編集後記】

「男は背中で語るー」という言葉もあり、言葉では伝わらないことも背中(態度)だと伝わることがありまし、同じことを言われていても、聞く側の状態(心理状態、ポジション、覚悟、レベル)によっても伝わり方が違う場合もあり、人が人に伝えるという行為は本当に難しいなと思います。

私の背中は子供たちにどう映っているのか。

 

 

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