中小企業の多くが廃業か?出口戦略を伝えるのも税理士の仕事。聞かれてからではなく投げかけていく

中小企業の経営者の高齢化が進み、2015年時点でのボリュームゾーンは65~69歳。後継者がいれば事業承継に舵をきるが、後継者がいない中では、自分の代で事業をやめる方も多いそう。

事業性があり今後も利益を稼ぐことができる会社も多く、自分が顧問ならどういうアドバイスをするか考えてみました。

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後継者不足

廃業させてたくて廃業するのではなく、後継者不足という問題があります。ひと昔前なら家業はその子供(長男)が継ぐべきみたいな風潮もあり、子供も当然継ぐべきものと考えられていました。現代においてもその風潮は基本的な流れなのですが、継ぐ側も選択肢が広がり、家業をしたいなら継ぐし、そうでなければ違う道に進むということも多くなってきたのではないでしょうか。

また子供がいないケースやその他の理由により継ぐ人間が親族内にいないケースもあります。

継ぐ人がいればいいわけでもない

継ぐ人間がいればそれでいいというわけではなく、特にモノづくりの場合、社長といえども職人で、その技術が高く評価され、社長がいるから事業性があるとも言えます。

機械設備やITの発達により、手作業部分が占める割合は低くなったとはいえ、その技術はすぐ身につくものではなく、やはり技術者の勘であったり、経験、感覚に依存する部分はありますし、機械に代替されないその部分に価値があると思います。

そういった場合、まさに「事業承継」という分野の話で、会社というハコの引継ぎではなく、経営者の想いとともにその事業の肝となる技術の伝承もしていかなければなりません。
(こんな記事も書いています。事業承継なのか継承なのか。大事なのは想い。自分でレールを引くこと

出口戦略を考えておく

後継者問題はすぐにどうこうなる問題でもありませんので、会社、事業の出口戦略は考えておかないといけません。(自分が死んだ後のことも考えて公正証書を残す方が増えているという話がありますが、まさにこの会社版、事業版といえます)

親族への承継

後継者となる親族がいる場合、その親族に継ぐ際はいかに税負担を軽減できるか、有利な方法で継ぐことができるかを考えないといけません。その際、相続税や贈与税の支払い猶予制度を使うことも考えられます。ただ、これも事前に戦略をもって準備する必要があり急にはできないケースもありますので、やはり前段階から準備が必要です。

従業員への引継ぎ

親族ではなく、長年働いてくれた従業員の方へ会社を、事業を引き継ぐ場合もあります。この際は会社の株式や事業譲渡という形になるのですが、その金額の付け方は様々な方法があり、てきとうに(言い方に語弊がありますが、当事者間で勝手にという意味も含めて)決めてしまってはあとあと、その譲渡金額が問題となるケースもありますので、顧問税理士や公認会計士等の第三者に相談する方がベターと言えます。

M&Aにより他社へ

M&Aにより取引先や同業他社へ売却する場合、株式譲渡、事業譲渡、合併、分割などその手法は多岐にわたります。第三者へ譲り渡すという意味では従業員への引継ぎと共通する部分もありますが、他社へ売却する場合もどういう手法を採用するのか、価格はいくらになるのかはやはり専門家に相談するのがベターです。

信頼され相談されるのが大事。こちらから持ち掛けるのも当然大事

とはいえ、会社を、事業を今後どうしていくかは社長が一番考えていることだと思いますし、口出ししない方がよい場合もあります。ただ、自分で作った会社や事業をやすやすと自分の代で終わらせたくないのは同じ(自分がという意味もありますが、取引先に迷惑がかかるかもしれないという目線も込みで)ですが、株式の譲渡や事業譲渡は通常したことがなく、どうすればいいかもわからないのも現実。
そんなとき、会社の数字を取り扱ってきて管理している顧問が、社長から今後のことについて相談を持ち掛けられる存在になっているべきだと思います。

また社長がご高齢になってきたとき、会社を、その事業をどうするかというのはこちらから話を持ち掛け、どうしたいかを考えてもらうきっかけを与えることができるのも顧問の役割と言えないでしょうか。

そういったことまで口をはさむことができるぐらい会社に入り込み、信頼されていることが顧問としての「価値」だと思います。その「価値」がなければ簡単に金額等で切り替えられてしまいますし、何のための顧問かわかりません。

まとめ

中小企業は後継者不足もあり廃業が増える時代がくるでしょう。その際、廃業という選択肢ではなく、ほかの道も事前に伝え、検討しているかどうかでも顧問としての「価値」がわかります。

単なる税金計算している人ではだめで、それこそ社長の右腕となる存在であるべきです。


【編集後記】

土日祝の三連休。土曜日は丹波の黒枝豆狩りへ(元上司の自宅)。黒枝豆には解禁日があり、解禁日すぐのころは身がプリッとしていてジューシーな味とのこと。もう一週間たつと、少し熟成されマイルドな味になり、最終的にはねっちょりした味になるようです。味の変化まではわかりませんがいつ食べてもおいしくいただいています。

 

 

 

 

 

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