テレワークの最近の動向

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はじめに

新型コロナの感染拡大から1年。緊急避難的に始まったテレワークが定着しつつある一方で、これまでとは別の課題も生まれています。

テレワークを採用している会社も、これからの会社も、世間の意見やデータをみて自社ではどう考えるか改めて考えるきっかけになれば幸いです。

テレワークにおける他社事例

  • 三菱ケミカル:本社機能集約

テレワークを「新常識」としオフィス体制の再構築をすすめ、都内の3か所に分散していた本社機能を、東京・大手町のビルに集約しました。

 17年に三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンの3社で合併しましたが本社機能の統合は数年来の懸案事項でした。それが今回、テレワークが定着し出社率が大幅に低下したことで実現しました。本社機能の集約に加えて、賃料などのコスト削減につながりました。

  • ソフトバンク:営業もオンライン

テレワークはIT技術者や間接部門などのオフィスワークが中心の部署が対応しやすいとされますが、ソフトバンクでは営業もオンライン中心の営業にシフトした結果、顧客とのコンタクト数がコロナ前の5倍になったと分析されています。オンラインでの営業は新規開拓や既存顧客との契約継続が維持できるか不安な面があったとされますが、蓋を開けるとオンラインの方が営業効率が上がり、今後もオンライン中心の営業活動にシフトするとのことです。

  • Gunosy(グノシー):本社をシェアオフィスに

 ニュース配信アプリを運営するGunosyは、本社をシェアオフィスに置くこととしました。シェアオフィスは共有スペースだけでなく、1社単独で利用できる専用部分もある施設もあり、社員数の変化に柔軟に対応できる利点に着目しての判断です。

これにより固定費の負担軽減はもちろん、他社と同じ空間を利用するシェアオフィスの場合、他社の従業員間で交流も広がり、新事業が芽吹きやすいという期待もあり今回の決断になりました。

 テレワーク中心となり出社は週に1度~2度がベースとなったため、通勤ストレスから解放されるというメリットが生まれました。

 一方、開発部門は週5日の出社を原則とし、コミュニケーションを重視した出社形態としています。「オフィスにいたら、その場でさらっと決まることが、オンラインだと、いちいちミーティングの予定を入れなくてはいけない。変化が激しいITの分野で、議論をしながらサービスの改善を進めるプロダクト開発は特にやりづらかった。」という意見があり、これに対処した結果が週5日出社となりました。

上記のように、テレワークが加速し、オンラインでの業務が中心となることでこれまで進められなかった本社機能の集約が進んだり、思いもよらない効率化が得られた一方で、テレワークが業務の進捗を悪化させる事象もでています。

  • メリット・デメリット
メリットデメリット
・時間にも場所にも縛られない働き方が可能に(通勤ストレスの解消。従業員のワークライフバランスが整えられる) ・移動時間がカットされ業務が効率的に ・賃借物件の集約や削減により家賃などの固定費が圧縮    ・働く場所が「会社」から自宅やカフェなどの会社外の場所も可能となったことによる情報漏洩リスクの高まり ・従業員は生産性を向上させなければならないという心理的なプレッシャーが生まれ新たなストレス源に ・従業員の業務管理がしにくい ・コミュニケーションの絶対量の減少 ・雑談の減少 ・会議時間以外の余白の消失

このようにメリット、デメリットがあるため、一方のみならず両面に目を向けた対策が必要となります。

地方と都市

このテレワークですが、都市と地方では温度差があるようです。以下のグラフを見ると、東北、北陸、中四国などの地方は「テレワーク制度がない」という企業も8割近くあります。

また、テレワークの利用頻度にも変化が見られ、週5日のテレワーク利用が20年5月では25.4%ありましたが、21年4月では12.6%に減少しています。代わりに週1日やそれ以下が増加し、1年前と比べて出社する従業員が増加している状況が伺えます。

日本企業でテレワークが進むのではなく、従来のように出社が増加している背景には、在宅勤務の長期化によってオフィスで働くよりも生産性が低下すると考えているからと言われています。

感想

私自身、コロナ前まではほとんど対面で打ち合わせをしていましたが、昨年4月の緊急事態宣言以降、打ち合わせはオンライン中心になりました。

これまでは打ち合わせするため1時間かけて移動し、1時間の打ち合わせを行い、また1時間かけて事務所へ戻るというサイクルで3時間を使っていました。しかしオンライン会議になると、移動時間はゼロ、1時間の打ち合わせをした後、すぐに別の仕事をすることができ業務効率は向上しました。

一方で内容にもよりますが初対面の方と会議や相談をオンラインで行うと、対面より伝わり方が弱いような気もしています。ビデオに映った表情、空気感がリアルの場よりつかみにくい印象があります。

しかし、オンラインでの会議はより加速し一般化しますので、オンラインならではの伝え方などを学んでいかなければならないと新たな課題も見つかりました。

この新型コロナの影響は、自社業界だけでなく、社会全体の在り方に変化をもたらしています。

今後どうなるかはだれにもわかりませんが、新たな突破口や可能性は均等にあります。この機をチャンスと捉え、わからない中でも変化に対処し行動するか、新型コロナが憎いと言い続けて変化しないか、数年後大きな差となっているかもしれません。

(出典:日経ビジネス 2021.05.03 No.2089より)

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